そろそろ起きようか

愛するジャニごと(主に関西Jr.)の記憶を残しておく場所。Twitterアカウント @akya_rara

3列目からの熱い風 ~「リューン 風の魔法と滅びの剣」感想

「リューン 風の魔法と滅びの剣」の感想です。

 

うわぁーーーん・゜・(つД`)・゜・

よかったーーー!!!!(泣)

 

丈くんも大橋くんも、本当に良い機会に恵まれて、それにきっちり応えて、素晴らしい初主演舞台だったよ、おめでとう(涙涙涙)!!

「関西Jr.ではいつも3列目。3列目からの逆襲」なんて見出しもあったけど、幕が開いたときからカーテンコールまで、二人とも最前列!堂々として頼もしかった。 

 

東京公演は終わり、静岡以西はこれからですが、ここから盛大にネタバレします。ご注意ください。

 

 

 

 

 

 

 

あらすじ、まるごと最後まで書きます。

 

 

 

 

 

これから観る人は読まないでね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こんなもんでいいかしら(改行)。

 

ポンコツ頭が記憶してる限りの物語】

魔法使いが消えた世界。中立を保ち平和なルトフの里。しかし隣接するカダ王国とナダージャ国は戦争を繰り返し世界の調和は乱れたままだ。リューン・フローとリューン・ダイは、幼い頃に戦乱で村を焼かれ親族をすべて殺されて、二人きりで兄弟のように身を寄せあい生きてきた。今は平和なルトフの里で、「3つのかまど亭」の女主人で里の長でもあるフローリア、その娘でダイたちの幼馴染み、共にもうすぐ大人としての通過儀式の日を迎える快活な少女エルカ、高名な魔法学者で人々の尊敬を集める老人ダイスたちと共に楽しい日々を送っていた。穏やかな性格のフローは、時折耳に蘇る戦乱の音に怯えつつも里の芸人一座「一角狼座」で芸人を目指し、戦乱を憎むダイは里の自警団のマーナムに師事し剣術の腕を磨く毎日。生まれた里の悲劇を思い出しては「あの時、もっと力があれば…」と剣を握りしめるダイ。それを「剣は人を傷付ける道具にもなるよ」と優しく諌めるフロー。優しい友の言葉にダイは笑顔でこう返す。「大丈夫。俺が道を誤ったときは、お前が俺を止めてくれる。そうだろ?」「うん。この身を挺してでも」。ーーそれが二人の約束だった。

その夜、「一角狼座」が里に伝わる伝説「風の魔法使い」を上演する。『民を愛し慈悲深かった王が、魔術で人々を救い尊敬を集める魔法使いへの嫉妬に狂い剣で刺し殺してしまう。魔法使いを殺した剣は「滅びの剣」と化し王を操り殺戮を続ける。現れた風の魔法使いがその歌で剣を封印、災厄を起こした王は罰として死を奪われ後悔の中で永遠の命を課せられる』。芝居にはリューン・フローはもちろんリューン・ダイも出演し芝居は喝采の中で幕を下ろす。

伝説に謳われ、未だにルトフの里のどこかに眠るとも言われている『滅びの剣』。最早見たものも居ないのに、弟子志願と称してダイスに付きまとう旅の青年ファンルンは、何故かその剣を探し出そうと躍起になっている。

芝居の後、フローとダイはエルカに連れられて森の奥にいた。母の鏡台から通過の儀式の為の箱を盗み出してきたエルカは好奇心から3人で開けてみようと提案する。躊躇うフローたち。居合わせたファンルンと揉める内に箱は開き、中から現れた呪文をフロー、ダイ、エルカの3人は声を合わせて読み上げてしまう。その瞬間風が止まり、干上がった泉の中から黒い剣が浮かび上がる。エルカがその柄を握った途端、彼女の身体に何かが乗り移り、恐ろしい力で剣を振るってフローたちに襲いかかる。必死に防ぐファンルンたち。フローが呼び掛けた瞬間、エルカの身体から力が抜けて剣が落ちた。エルカが箱を持ち出したことを知り追って駆けつけてきたダイスとフローリアはその様を見て「1000年の封印が!」と悲鳴を上げた。3人が解いたのは伝説の滅びの剣の封印だったのだ。滅びの剣の出現に歓声を上げて手を伸ばそうとするファンルンを鋭く止めるダイス。彼が剣を布で包み拾い上げた時、何かが燃える匂いが風に乗って漂ってくる。「里が燃えてる!襲われているんだ!」隣国の大国カダ王国の襲撃だった。ダイは咄嗟に、ダイスの手の滅びの剣を奪い取ると、里を目掛けて駆け出していってしまう。

カダ王国の将軍ダナトリア率いる軍勢の襲撃に燃えるルトフの里。自警団のマーナムも惨殺される。かまど亭に駆け込んだダイは、「一角狼座」座長ウィルトスを殺そうとするダナトリアの姿に逆上する。彼らこそ二人の故郷を滅ぼした張本人だった。怒りのまま布を剥ぎ取り滅びの剣の柄を握るダイ。恐ろしい力でカダの兵士たちを薙ぎ倒していく。しかしダイの意思に反して剣は止まらずウィルトスやそばにいた里人たちをも次々と斬り殺してしまう。「剣が、剣が止まらないんだ!!」追い付いてきたフローたちに、剣に振り回されながらダイが悲鳴を上げる。意思を宿したかのように誰彼構わず襲い斬り続ける滅びの剣。リューン・フローが風の魔法使いの芝居の中で歌った歌を歌うとふと収まりかけたものの、剣を手に入れようと背後から近づいたダナトリアに気付き、ダイはダナトリアの左足を切断する。剣の化身のような黒い魔物が沸き起こり、フローたちの止める声も虚しく、ダイは剣から手を離すことさえ出来ずに剣と魔物に天高く連れ去られていく。

焼け落ちた里、嘆くフローリアたち。茫然と佇むフローにダイスは言う。滅びの剣を手にしてしまったら死ぬまで周りの人々を殺し続けるしかない。腕を切り落とすこともかなわない、と。

「僕が行きます!僕が、リューン・ダイを殺してきます」リューン・フローは顔を上げ、震える声でフローリアたちに言う。「約束したんです。彼が道を誤ったときは僕が身を挺して彼を止めると」。同行を願い出るエルカ。護衛がわりについていくことになるファンルン。悲しい決意を胸にダイスから渡された風を起こす笛を握りしめてリューン・フローは二人と共にリューン・ダイを追って旅立つ。それを見送って自らも風の魔法使いを探す旅へ向かうダイス。その背にフローリアが呼び掛ける。「ガンダル王…」。ダイスこそ、かつて嫉妬から滅びの剣を生み出し、罰として風を魔法使いに死を奪われ、1000年の年月を生きてきた王その人であった。

剣に引きずられ望まぬ殺戮を繰り返すダイ。その無二の友を殺す旅に出るフロー、そしてエルカ。真の狙いの窺い知れぬファンルン。自責の念と共に魔法使いを探すダイス。無事を祈りつつ見送るフローリアと里の人々。自国の安寧ために滅びの剣を求めるダナトリア。解き放たれてしまった伝説の滅びの剣によりそれぞれの運命の歯車が軋み音を立てて巡り始める。(1幕終わり)

 

リューン・フローたちが最初に立ち寄ったのは、たたらの島という奴隷たちが武器を作り続ける島。島の奴隷たちは武器を作るだけではなく出来上がった武器の試し切りに手足を切断されるという悲しい運命も背負っていた。リューン・ダイと戦うために強力な剣を探す彼らの前に現れたのは、左足の義足と剣を買いに来たダナトリア。一足先に強力な剣を買い上げようとしていたダナトリアに「リューン・ダイは僕が殺す。だから剣を譲ってほしい」とフローは言う。ダナトリアは、「剣は譲ってもいい。だがお前の仲間に切り落とされた足のかわりにお前の体で剣の試し切りをさせろ」と無理難題で迫る。「わかった。歩けなくなるのは困るから左腕にしてもらってもいいかな」リューン・フローは躊躇いもなく穏やかな笑みさえ浮かべて、ダナトリアに自分の左腕を差し出すのだった。

その頃、ダイスは砂漠で風の魔法使いを探し続けていた。身を寄せたオビカテ族のテントにリューン・ダイが現れる。ダイはテントを襲撃してきたドラゴンを駆逐した後オビカテ族も皆殺しにしてしまう。ダイスに自分から逃げるよう叫びつつも時に残虐な笑みで殺戮を繰り返すダイ。リューン・ダイの苦しみと止められぬ暴走にダイスは苦悶する。

殺戮を繰り返すリューン・ダイの心は、滅びの剣の黒い魔物に次第に侵食されつつあった。彼の心の中にある憎しみ、怒りを増幅させて絶望へ取り込もうとする滅びの剣。ダイは正気を保とうと必死に葛藤しつづけていた

リューン・フローたち3人はリューン・ダイを追って世界の果てと呼ばれる風の洞窟にたどり着く。不思議な音の反響をする洞窟の中でフローはダイの声を聴き、駆け出す。はぐれてしまう3人。エルカは、ファンルンから貰った干し肉を食べて突然眠気に襲われ昏睡してしまう。ファンルンは、エルカを助け起こすどころか何故か泉に蹴り落とす。ファンルンが立ち去り泉に沈みかけるエルカを洞窟の奥から現れた謎の白い影が透明な音色で包み込む。

一方、リューン・フローも、後をつけてきていたらしい謎の3人組に囚われてしまう。縛り上げられたフローの前に現れたのはファンルン。ファンルンは、それまでの陽気さとは全く異なる嗜虐的な笑みでフローに近づく。「俺と組め。俺は滅びの剣を手に入れる。そしてお前は俺がすべての人々を殺してしまう前にその歌で俺を止めるんだ」。ファンルンの正体は、カダ王国と対立するナダージャのスパイで滅びの剣を探るために身分を偽り、ルトフの里に入り込んでダイスに付きまとっていたのだ。フローを襲った3人組もファンルンの部下。さらに、ファンルンは人を殺すのが楽しくて仕方ない殺人嗜好者であり、フローとエルカの会話から滅びの剣を止められるのが唯一フローの歌声であることに気付き、自分が滅びの剣を手にいれた後のセーブ役として自分と手を組むことをリューン・フローに要求する。フローは、それを激しく拒絶する。「僕は君のためには絶対に歌わない!僕は僕の守るべき人のために歌う!」ファンルンは残虐にもフローの右耳をナイフで削ぎ落とす。尚も拒絶するフローに「俺のために歌わない声なら要らない」とフローの舌を切り落としてしまう。耳と声を失い、苦しみのたうつリューン・フロー。彼の脳裏に滅びの剣がもたらした数々の哀しみが押し寄せる。

そこへ、滅びの剣を携えたリューン・ダイが現れる。襲いかかるダイにフローは声を失ったまま剣を取り応戦し二人は激しく斬り結ぶ。その合間に滅びの剣で無惨に切り捨てられたファンルンの部下は黒い魔物が待ち構える沼へと飲み込まれていく。エルカが駆けつけ、伴ってきた白い影が歌うと滅びの剣の勢いが緩む。ファンルンに陥れられて沼に沈みかけていたエルカを救った白い影は、かつての「風の魔法使い」の眷属である「風の歌」たちだったのだ。風の歌たちは美しい歌声で魔物の動きを鈍らせる。そこへさらにダイスが、加えてダナトリアも魔法道具使いを従えても駆けつける。ダナトリアを前に劣勢を悟ったファンルンは、姑息にもカダ王国に寝返ろうとするが、ダナトリアはあっさりとファンルンを切り捨てる。ダナトリアはたたらの島の時から、陽気な風貌とは裏腹に血の臭いを放つファンルンの正体を見抜いていた。沼へと転がり落ちて黒い魔物の餌食となって沈んで行くファンルン。

繰り返し勢いを取り戻してダナトリアに襲いかかるダイの滅びの剣を、間に駆け込んだフローが剣で押し戻す。仇であるはずの自分を守るフローに驚くダナトリア。

(リューン・ダイは自分が止める、この身を挺してでも)。

声を奪われ友の名前を呼ぶことも歌で収めることも叶わず、友を止めたい、悲しい一念だけで友へ剣を振るうリューン・フロー。しかし一瞬の隙を突いてダイの剣がダナトリアを貫く。絶え行く息の中でダナトリアはお供の魔法道具使いにフローの声を戻してやるように命じる。「たたらの島からわかっていた。お前のようなものが一番恐ろしい」。ただ一筋に友を救いたい、リューン・フローの無私の願いこそどんな欲望さえも飲み込む、最も強く、最も読めない存在であると言いながら、ダナトリアは魔物の沼に沈んでいく。そのとき、魔法道具使いの力でフローの喉に声が戻る。

フローは歌う。祈りを込めて。鎮めの歌を。

その歌にリューン・ダイは思い出す。村を滅ぼされ、さ迷い飢えていた自分が、同じ生き残りのフローが拾ったたった一つのパンを彼を殺してでも奪おうとしたとき、フローは2つに分けて渡してくれたこと。二人は寄り添って眠り、フローリアの声に救われたこと。そしてずっと二人で生きてきたこと。

その時、滅びたはずの「風の魔法使い」が現れる。風の魔法使いの力に圧されて怯む剣の魔物だが、なおもリューン・ダイを放そうとせず、ダイはなすすべもなく滅びの剣をリューン・フローに向けて振り上げてしまう。フローは自分の剣を打ち捨て、ダイを救うためにすべてを受け入れようと両手を広げる。フローめがけてダイの手によって滅び剣が振り下ろされる。しかし。滅びの剣が貫いたのは二人の間に割って入ったダイスの身体だった。その身に抱き込むように剣を受けたダイス、否、災厄の始まりであったかつての王は「これでやっと終わることができる…」と言い残し、魔物の影と剣と共に塵になって消えていくのだった。

数日後。ルトフの里。エルカとリューン・フローが帰還する。傷だらけの二人を温かく迎えるフローリアたち。リューン・ダイは己の奪った命を弔うための旅を続けている。いつか、また里に戻る日のために。

フローは歌う。旅を続ける友のため、失われた命のため、新しい命とこの世界の調和のために。風の魔法使いの歌声が世界を満たしていく。(終幕)

 

 

ながーい。物語、長いっ!たぶん感想本文よりも物語が圧倒的に長い!ここまでがんばって読んでくださったあなたはリューン世界の住人ですようこそ!(なんのこっちゃ)

しかしどうしてもラストまで書きたかったんです、すみません!

しかも、記憶だのみなのでクライマックスの順番とかかなり曖昧。どこかで、エルカが拾ってきてくれた風を呼ぶ笛を吹くところがあったんだけど、声が戻る前だっけ???なんかほかにも色々あやしいんで、間違えてたら教えてほしい。こっそり直すから💦(おい)。

 

こうしてみるとほんとにファンタジーだね。魔法使いとか滅びとか。するっと作品世界には入れたけど。

 

まるっとまとめると、とてもいいミュージカルでした。悲しく苦しいシーンもたくさんあるけどカタルシスも救いもある。この作品が二人の初主演舞台であったこと、そして温かく頼もしく、実力豊富な共演者の皆さんに包まれての舞台であったことに、感謝と感激は尽きません。

 

特に泣いたとこは2ヶ所。

……まぁ、幕が開いたときから「主役だー( ;∀;)。二人が立ってるー( ;∀;)。丈くんが痩せて目がさらにでっかくなってるうう。・゜゜(ノД`)」って出てるだけで嗚咽ものだし、カーテンコールの挨拶までもずーっとうるうるだったんですけど。

おばちゃん涙腺ゆるゆる。

でもそれは置いておいて。

 

物語として泣かされたのは、1幕の終わり近く、リューン・フローが「僕が行きます!僕がリューン・ダイを殺してくる!」と言うところ。若干台詞が違うかもしれんけど、だいたいそういう意味のことをフローリアたちに宣言するとこ!それまでそんなに大きな声を出さなかったフローが、絞り出すような大声で、自分の中の色んな感情を乗り越えて叫ぶんです。兄弟みたいに大好きな親友を、戦うことが嫌いな彼が、自分の手に掛けると。この時の丈くんの声は少し震えていて、それが尚更リューン・フローの葛藤と悲しみで真に迫っていて、心臓鷲掴み。うわぁぁん、つらいね。こんないい子に苛酷すぎる重荷。神様はなんて残酷なんだよう゜・(つД`)・゜・

 

リューン・ダイが道を誤ったらリューン・フローが身を挺してでもそれを止める。この約束は物語の前提として頻繁に出てくるんだけど、なぜこの約束が生まれたのかわかるところが、私の二つ目の号泣ポイント。

クライマックス、ファンルンに奪われた声を取り戻したリューン・フローと、滅びの剣を手にしたままのリューン・ダイが過去を思い出す歌でそれは明らかに。双方とも村を焼かれ親兄弟も殺され、お腹を空かせてさ迷うなか、リューン・ダイは、リューン・フローが持っているパンを殺してでも力ずくで奪い取ろうと決意したとき、フローはそのパンを2つにわけてダイに差し出したと。分け合って食べ、寄り添って眠り・゜゜(ノД`)。この歌でまた涙がだーーーっと(ToT)。 曲も、少し震えながら寄り添うような二人の歌声も素晴らしくて胸に刺さる。この記憶があったから、ダイは憎しみや感情で自分が暴走しても必ずフローが正しい在り方に導いてくれると信じていたし、フローも自分が手を差しのべれば必ずダイは止まってくれると信じあっていたんだね・゜・(つД`)・゜・

もう、二人が愛しすぎるーーって泣く。

 

全編にわたって二人が健気で、取り巻く人々が優しくて、敵であっても憎みきれないそれぞれの哀しみを背負っていて、そういうところ、根底に流れるものがとても温かい舞台。

 

ここからは舞台大好き人間のこだわりチェックポイント、舞台セットについて。

総合して綺麗な舞台だったなー!というのが印象。中央奥から左右へ緩やかなスロープになった馬蹄形のシンプルなセット。馬蹄形のスロープの外周に沿って天井から吊り下げられた幅50センチ程度の何枚もの薄い白布。布は、映像を映すスクリーンにもなるし、現実と異世界を隔てる扉にもなる。セットも出ては来るけど大がかりなのが出てきたのは、たたらの島くらいじゃなかったかな。とにかく布の使い方が上手くて「風」を絶妙に表現してたのが印象的。メインのセットでの下がった白布のふわふわと儚い揺れ、ダイス先生が行き倒れる砂漠を薄い布に風を孕ませて黒子がそれを引き上げて砂丘を表現するところとか、思わず血が騒ぎました。

照明も、やわらかな青をメインに、敵は赤、剣の世界は闇とシンプルですっきりと分かりやすい。

映像は、プロジェクションマッピングを用いた~と言うのは情報解禁当初から言われていたけど、舞台に映像を組み合わせた例は新感線、堤演出、宮本演出など既に多く連想できたので、事前にはそんなに高い注目ポイントではなかったです。でも、技術的なことはよくわからないながら、かなり薄くてしかも幅狭くカットされたたくさんの垂れ幕に歪ませずに映像を投影するのは難しそう!とは思ったし、セットチェンジ少なく場面を転換することでファンタジーから現実に観客の意識が戻る隙を与えないって言うのもあったのかな。

映像の使い方でこれいいなー!と思ったのは字幕。冒頭のかまど亭で里の人たちの各ソロパートと同時に役名が映し出されたこと。日本人には記憶しにくいカタカナ名前を映し出して、役者とまとめて記憶させることは、ファンタジーという異世界に観客が自然に感情移入するのを大いに助けてくれたのではないかしら。

歌詞の多くが映し出されたのも良かった。歌の歌詞に重要な物語の鍵が含まれてるのですが曲として流れてしまうと耳に歌詞が留まらず大事なキーフレーズを逃してしまいがちなだけど字幕にすることでミュージカルに慣れてない人にも優しかった。滅びの剣の魔物とリューン・ダイの歌のところでは、バラバラになった文字がスクリーンの下からせり上がって次第に文字になっていく演出も、人ならざるものの怨嗟が地面から沸き起こって形を成す不気味さを表しているようで、とっても面白かったな。

そしてなによりも舞台セットや映像以上に綺麗だったのが出演者さんたちの歌声!!!。主演の二人を囲む出演者の皆さんの声が、澄みわたっていて本当ーーーに心が洗われるように綺麗!!柔らかい響きで、声が重なりあうと透明感が増して、作品世界に入っていることを差し引いても、妖精や魔法使いと言われて違和感のない綺麗な声ばかりでした。

音楽も印象的だった。私はあまりメロディーラインをちゃんと記憶する方ではないんだけど、リューン・フローが剣を抑えるために歌う曲、というかメインの曲ってことになるのかな、柔らかい主旋律がはっきり脳裏に刻まれてるし、たたらの島の曲やダナトリアの独唱の曲もサビはしっかり残ってます。

 

さて、関西Jr.のお二人について。

 大橋くんは、もちろん彼自身の才能や努力ももちろんあるんだろうけど、なんというか、初めてのことに取り組むときに、とても勘のよい人なのではという気がする。天才肌ってのとは違う、たぶん。でもすーっと自然に出来てしまう人。誰が相手でも、人との垣根が低くて、にこにこふわっと懐に入ってしまって相手をも笑顔にしてしまう独特のキャラクター故ってとこもありそうだけど。

声も、普段はカスッカスwとか言われちゃうハスキーな声なのに、歌うと伸びやかで声量もあり、音程も安定しててとっても上手い。緊張は見られるけど舞台での立ち回りなどの動きも迷いがなくて、プレビューから伸び伸びしてるという印象でした。

丈くんの方は、リューン・フローはダイに比べて穏やかな性格で感情や動きを顕にしないという点で、舞台なのに秘めた感情表現が求められるとても難しい役。プレビューの時はまだ硬さが随所にあって、広い舞台空間なのに他の役者さんに比べて動ききれてないのがもったいなくて、歌でも大橋くんとのデュエットでキーが下なので、丈くんが普段歌うキーより低くて声が伸びにくいところもあったりと、とても頑張っているけれど、正直に言えば関西Jr.の時の丈くんの熱量が緊張のベールに隠れてしまってる?ような印象を受けました。でも、数日後に日本青年館で見たときはそれが大きく目覚ましく変わっていて!!リューン・フローがメインに立っていないときにも生き生きと伸びやかに役を生きていて楽しげで。そして何より、目が違った。リューン・フローのしなやかな秘めた意思の強さがあの大きくて特徴的な目にしっかりとみなぎってた!たたらの島で、少し笑みさえ浮かべて左腕を差し出し斬られるのを待つ表情、ファンルンの暴虐に決して屈しない燃えるような眼差し、慣れない剣なのに必死でダイの滅びの剣を受け止める時の、必死に友の正気に訴えかけるような目。やっぱりあの目に感情がまっすぐ表れるところは丈くんの最強の武器だなあと。そして、わずか数日でこんなに表現豊かになってたことにも感激でした!!

2幕のファンルンたちにいたぶられるとこは辛くて見ているのもつらいけど、いたぶられても傷つけられても相手から反らさないあの目の強さにリューン・フローの揺るぎなさを感じて、次のシーンを待つことができたんだよ・゜・(つД`)・゜・

大橋くんも、立ち回りも歌も、魔物と正気を行き来する表情の変化も、プレビュー以上にますます大きくできるようになってて迫力を増してた。クライマックスの切り結ぶとこでも、スターウォーズみたいな光る剣の軌跡が攻めるダイと迷いつつ防ぐフローのそれぞれの葛藤が見える動きにもなっていて、とても美しい。大舞台の主演を任された重圧のなかでもしっかり成長していく二人の底力がとても誇らしかったです。

 

他の出演者さんも良くて。

エルカの浜崎香帆さん、めっちゃ元気で可愛い、歌もうまい!エルカは、そもそものきっかけを作っちゃう、物語的にはとんでもない立場なんだけど、彼女の明るさや前向き感、怒るべきことにはきちんと怒る、危機にも負けない気丈さが見ていて気持ちいい。そうさせてくれたのは演じる香帆さんの真っ直ぐでパワフルな存在感故だと思います。ヒロインなのに最後までずーーっと頼もしかった。彼女がいればルトフの里は立ち直れる、そんな逞しさが香帆さんから感じられて、ぜひ将来はリューン・フローと結婚してお母さんの後を継いで長になって、三つ子とか産んで、フローを尻に敷いていただきたい!そうすればきっと里の将来も安泰。

 

ファンルンの永田崇人さんは、大阪から上京してきた丈橋と本当に仲良くしてくれて、Twitterでも頻繁に稽古の様子をお知らせしてくださって、感謝しかないです。舞台慣れしていて動きも台詞も軽快、歌も伸びやかで上手くて、同世代でこういう人が共演で、しかも仲良くなってくれたらあれこれ相談もしやすかっただろうしリラックスもできただろうし何より心強かったと思う。ファンルンは結果的には裏切り者で部下の3人組との間にも敬意も友情もなかったけど、それが全ての本性なのか、なぜ彼はああなってしまったのかなと終わった後にもつらつら考えてました。もしかしたら彼も二人と同じように戦争孤児だったのかもしれない。ナダージャのことは物語では語られなかったけど、戦乱を続ける土地で一人きりで生き残るために裏切って殺して殺し続けた結果、ああなってしまったのかもしれない。もしも彼にもリューン・フローのようにパンを分け合ってくれる友や、ルトフの里の人たちみたいに迎え入れて愛してくれる場所があったら、違った生を歩んだのかも……。だとしたら、リューン・フローやエルカとのつかの間の旅は苦しい過去や役割を忘れられるひとときだったんじゃないかなんて思ったら、妄想なのにファンルンも可哀想で来世では絶対幸せになってね。そのくらい感情移入できる素敵なキャラクターでした。合掌・゜・(つД`)・゜・

 

そして忘れちゃならないダナトリア様こと岸祐二さん。私のなかではカーレンジャー、またはミューヲタ時代のレミゼのベストオブアンジョです。岸さんのアンジョルラスが大好きだったんですわ(*´ω`*)。厚い胸板に響く朗々たる歌声も揺るぎなく。素敵。1幕の最後、旅立つフローたちを中央に、ダイ、里の人たち(死者含む)、ダナトリア、ダイスと登場人物が次々に舞台上に登場して歌声が重なっていくところはレミゼを思わせて、岸さんに真ん中で赤い旗を振ってほしいと思ったのは私だけではないはずw。ダナトリア様は敵なのに、最後の最後にリューン・フローの声を戻させるところがほんとに泣ける。利害や自我や義理からの行動ではなく、己を捨てて純粋に友を罪と苦しみから解き放ちたいから行動するリューン・フローに、敗けを認め、自分なりの美学のまま滅んでいくダナトリア様。今回の舞台でけっこうなジャニヲタの魂を震わせましたですよ……。

 

春風ひとみさんはもう何に出ててもこの人は絶対の安定感と世界を作ってくださるというか!!今回も、フローリアと呪いの魔法道具使いとい素晴らしい存在感。魔法道具使いの単語を所々倒置させるしゃべり方、別人格が入れ替わりながらしゃべってるみたいで、面白かったなぁ。初主演の二人を温かく包んでくださってありがとうございます。

ダイアモンドユカイさんのミュージカル見るのは実ははじめてだったんだけどカッコいいっすね……。稽古だけでも忙しいのに公式で常に情報を流したり、数多くの役で美声を響かせてくださったまりゑさんや、何にでも化けてしまう器用で楽しい大澄さんとか、サーカスパフォーマーのお三方もすごかった!しばしば、それどうやって立ってるんだろう?ってなったしその存在がファンタジー感を増してた。カーテンコールで実際のキャスト数の少なさに驚くくらい複数の役を全員が演じていらして、舞台袖はジャニーズの早替え並みに慌ただしかったにちがいない!歌でも演技でもカンパニーの一体感でも、頼もしく温かい皆さんに支えられた丈くんと大橋くんはもちろん、そんな彼らとその舞台を見られた私たちがとても幸せでした。

 

関西Jr.は、華やかなチャンスを与えられる機会はもしかしたらそんなに多くはないかもしれないけど、だからこそ、丈くんも大橋くんも、掴んだチャンスを無駄にしたくない、次に繋げたい、関西Jr.全部のチャンスにしたいと思っていただろうし、その気迫と成長を確かに感じる舞台でした。

と同時に、その場所は、舞台は、彼らの努力だけでは成り立たず、共に作る製作陣や共演者の力があってこそで、それを得てこそ成長できるということも強く感じました。カーテンコールでも二人を里の人々そのままに温かく見守り盛り立ててくださって、ファンのひとりとしても改めてこの縁に感謝します。

プログラムもこれで1500円なら安い。特に演出家さんとの対談は、稽古し始めの二人の不安やワクワクが素直に出ていて、演出家さんも二人の個性を見抜いてくださってるのが興味深いし、全公演終えた後のまた3人での対談を読んでみたくなります。

 

二人の初めての主演がこの舞台で本当に良かった。この舞台を、東京で見られてよかった。

丈くん大橋くん、おめでとうございます!次に繋げようね!チャンスをたくさん掴もうね!

そして製作ならびに共演者の皆様、本当にありがとうございました!!!

 

 残りの静岡、久留米、大阪も全員が健康に、素敵なステージとなりますように!

 
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【追記】

3月11日、無事に大千穐楽までの完走おめでとうございます!東京を離れてからもキャストさんたちのツイートやブログでカンパニーの明るさと仲の良さが伝わってきて、お世辞抜きに二人がとてもとても愛されていたのが伝わりました。

永田さんのブログで、ファンルンの生い立ちに関する私の妄想があながち外れてなかったことがわかったのも密かに嬉しかったりw

本当にみなさんお疲れ様でした!ありがとうございました!

 

【追記の追記】

2018年12月22日、リューン再演発表\(^o^)/

嬉しいな!おめでとうございます!